はじめに

80年代後半から90年代はまさにバイクブーム、各地の峠はバイクに乗る若者のたまり場となっていました。
いわゆる「走り屋」と呼ばれる彼らはレーサーのような恰好をしてバイクに乗り、公道で速さを競う。
彼らは気持ち良く曲がれるコーナーを常に探し求めていました。
もちろん街中にはそのような場所はないので、人里離れた峠や湾岸地帯、さらには駐車場や開発途中の土地などでも走る日々。
走れる場所は「スポット」と呼ばれ、口コミでどんどん若者が集います。
知名度の上がったスポットは、当時走り屋のバイブルであった「バリバリマシン」なる雑誌によって紹介されることもありました。

もちろん、毎日のように誰かが走り回っているわけですから、事故も頻繁に発生します。
そういったスポットが野放しにされるはずはなく、二輪通行禁止になったり、大きな減速帯が設置されたり。
しかし、彼らはまた別の場所を見つけ、走り出すのです。

現在、スポットに彼らはいません。
スポットのほとんどは潰れ、まともに通行することも困難です。
そこに残るのは、二輪通行禁止の標識、ローリング走行根絶の看板、激しい減速帯、真新しい花束。
どうしてここが二輪通行禁止なの?この減速帯は何のために?普通の人は首をかしげるでしょう。
それは走り屋の生きた証で、ここがかつてスポットであったことを主張しているです。

二度と訪れないであろう、バイクが輝いていた時代を、そこから感じ取ってみて下さい。


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